日産が総力を挙げた新型エルグランドの情報が続々とリークされてきております。今回はこれまでのエルグランドの最新情報を公式情報なども踏まえ解説いたします。
歴代エルグランドについて
初代(E50型・1997年~2002年)
- 登場背景:当時、トヨタのハイエースなどが商用車ベースでファミリーカーとして使われていた中、エルグランドは最初から「高級ミニバン」として設計された画期的なモデルとして発売されました。
- 特徴:
- 四角く力強いボディ
- 3列シートで大人数が快適に乗れる室内
- パワフルなV6エンジン(VG33E 3.3Lなど)
- 人気の理由:この当時はワゴンというと商用車のイメージが強く、言ってしまえば、時代を先取りした車種と言えました。

2代目(E51型・2002年~2010年)
- 進化のポイント:
- よりスタイリッシュで都会的なデザイン
- 電動スライドドアや本革シート、ナビなど装備が充実
- VQ35DEエンジンなど、新世代のV6を採用
- 時代の流れに乗る:
- 同時期に登場したトヨタ・アルファードと市場で激突
- エルグランドは「FR(後輪駆動)ベース」で、走りにこだわるユーザーに支持された
- この時期はまだFRが多く、車重バランスが良く、小回りが効く車として大ヒットしました。警察の捜査車両としても良く見かけますね。

3代目(E52型・2010年~現在)
- 最大の変化:
- プラットフォームをFF(前輪駆動)ベースに変更(ラフェスタなどと共通)
- 居住性や燃費性能の向上を優先
- 装備の近代化:
- インテリジェントキー、アラウンドビューモニターなど最新装備
- 安全技術も強化(プロパイロットの前身技術など)
- 市場での立ち位置:
- アルファード/ヴェルファイアの人気に押され気味に
- それでも「大人の落ち着きがあるミニバン」として根強いファンが存在

現在の販売状況
現在の日産エルグランド(E52型)は、2010年に登場した3代目モデルで、約15年が経過しているにもかかわらず、継続して販売されています。ただし、市場での存在感は以前ほど強くはありません。
原因としては下記の理由が考えられます
- アルファード、ヴェルファイアに人気に押される
- 日産自体の経営状況によるモデル長期化
ひとつめに挙げられる理由は誰もが分かり切った事だと思います。昔からトヨタが強かったといってもこれほどまでにトヨタの一人勝ち状態という訳ではありませんでした。しかし今ではエルグランドは月間1000~2000台。アルファ―ドとヴェルファイアに至っては2台で10000台近い販売台数があり、その差は歴然です。リセール性や純粋に車としての完成度や先進装備など魅力が劣っていることは誰が見ても明らかであり、その差が販売台数にダイレクトに響いています。
二つ目のモデル長期化については、さすがに15年目という事もあり、どれだけマイナーチェンジを行ったとしても、ベースとなる車両が15年前の車だと追加装備に対応できる機能にも限度があります。15年前というと、丁度10系アルファードから20系アルファ―ド、そして爆発的にヒットした新型ヴェルファイアが発売された時期と重なります。アルヴェルはそこからフルモデルチェンジを2回している訳ですが、エルグランドは時が止まっている事になり、それで販売台数を稼ぐ方が難しい話となる訳です。
新型エルグランドに関する公式情報

日産は今後商品力の強化を目指して2024年度~2026年度にかけて7車種のリリースを予定している事が公式のIRからみてとれます。その中で”大型ミニバン”と表記された車種、それこそがエルグランドと思われます。
今年2025年の秋、ジャパンモビリティショーでプロトタイプを発表されると噂される新型エルグランドですが、気になるその性能や機能とはどのようなものなのでしょうか。
第3世代e-POWERの搭載
こちらも日産の公式IRをもとに解説いたします。
第3世代e-POWERの概要
「e-POWER」とは、エンジンで発電し、モーターで駆動する日産独自のシリーズハイブリッドシステムです。通常のハイブリッドとは異なり、車輪を駆動するのはモーターのみで、エンジンはあくまで発電専用です。
今回の「第3世代e-POWER」は、その最新バージョンで、以下のような改良点が記載されています。
主な特長・進化点
- 新開発の発電用エンジン搭載
- 高効率エンジンを採用し、燃費性能の向上。
- エンジン音の静粛性・自然さも向上しており、「EVらしい静けさ」に貢献。
- 電動駆動の強化
- モーター出力や応答性が向上し、「思い通りに動く」加速性能やハンドリングが実現。
- 走行シーンに応じたトルク制御で、より自然でスムーズな走行感覚。
- 運転支援・制御の強化
- より滑らかで快適な減速制御を行う「電動ブレーキ協調制御」の改良。
- ワンペダル感覚の運転がさらにしやすくなる。
以上を特徴として、なんと燃費は20%向上、そしてコストは20%ダウンさせるという情報を発表しております。また、IRでの公式発表にによると、高速域での燃費向上を図ったとの事で、これは不振が続き海外での販売を意識しての事だと思われます。日本と違いまっすぐな高速道路が多い事情を反映しての事でしょう。これは実現すると、高速での燃費が良く、車両本体価格も抑えられたモデルとして発表されそうですね。
プロパイロット2.0
「プロパイロット2.0」は、日産が開発した高速道路同一車線内でのハンズオフ走行を可能にする、先進自動運転支援システムです。
主な特長
1. ハンズオフ走行
- 高速道路の同一車線内で、条件が整えばハンドルから手を離しての走行が可能
- ドライバーは前方を注視する必要あり(注視カメラによる監視あり)
2. ナビ連動ルート走行
- 車載ナビと連動し、走行ルートに沿って分岐・分合流・車線変更などを自動支援
- 目的地に向けたスムーズなルートガイドと車両制御を連動
3. 自動車線変更
- ドライバーの承認(ウインカー操作)により、自動で周囲を確認して安全に車線変更を実行
- 追い越しや分岐時などに活用
4. ドライバーモニタリング
- 専用カメラでドライバーの目線や顔向きをチェック
- 居眠りや前方不注意を検知し、警告や制御を行う
5. 全方位センシング
- 高精度3D地図、GPS、各種カメラ・レーダーを用いた360度センシング技術
- 周囲状況の把握と精密な車両制御を実現

まとめ
昔から営業のトヨタ、技術の日産と言われ、先進技術については日産は非常に強みがあるメーカーです。リーフの電気自動車を始め、e-POWERという他メーカーにない技術や自動運転などについては各国産メーカーよりも一歩先を言っています。
次モデルのエルグランドに搭載されるのは、これまで苦しい経営状況だった日産が総力を挙げて発売する、渾身の意欲作となるのではないでしょうか。
今後他にも、最新情報がリリースされましたら随時アップしていきますので、お楽しみにおまちください。
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