査定士として日々、お客様の愛車の買取をしている者の視点で、何を考えながら査定をしているかを解説します。
高く買い取ってもらう為の、商談スキルとして、是非ご参考にしてください。
アポの段階での査定士の思考
アポの段階では、電話やメール、ネットでの予約などがありますが、いずれにしてもこの段階で・・・
「○○○って装備がついているんだよ☆彡」
「タイヤを去年変えたばかりなんだ☆彡」
など色々とご説明してくださる方が多いのですが、残念ながらこれはあまり意味がありません。
装備についてはグレードによってほとんどが決まるのと、追加オプションはこちらで見ればわかりますし、タイヤやコーティングなどは消耗品として扱われるので市場価値に影響が無いのです。ちなみに純正品以外の、いわゆる社外品パーツは基本的に相場を下落させる要因となります。社外品として査定ポイントをアップさせるのは、そのパーツ自体に価値があるものだけです。代表的なものとして”BBSホイール”、”レカロシート”などが挙げられます。
査定に際しての準備
洗車をしてからいくべきか!?と言うお問い合わせを良く頂きますが、結論としてはそのままで大丈夫です。
なぜなら、査定士は「汚れなんて洗えばとれるもの」そのくらいにしか思っていないからです。ただ、すべての車にこれが当てはまる訳ではありません。
一例として
- 高年式でボディもキレイな場合:多少汚くても特に気にしません
- 高年式でボディが傷だらけの場合:汚れがひどい場合、それを傷と捉え評価点が下がる可能性があります
- 低年式でボディがキレイな場合:年数が経っていると、それだけ傷の多い車が多くなり、キレイな個体が少なくなるので、キレイさに自信がある場合は洗車をすると、査定士の印象が変わり評価点が良くなります。
- 低年式でボディが傷だらけの場合:特に気にせず、もし汚れがあってもそのままお持ちいただいて構わないと思います。
また持参物ですが、基本的には車内にあるものだと言えます。車検証などのほかに、取扱説明書、保証証、整備記録簿など。あとはもしあればで良いのですが、新車時にオプションで付けたものがわかるような注文書やオプションの取り扱い説明書があると、査定士の装備品見逃しのリスクが軽減されるでしょう。
それと、やはり事前の相場観というものはある程度理解しておきましょう。大事です。
- グレード
- 走行距離
- 年式
- ボディカラー
- 2WDか4WDか
上から順に絞りながら絞り込んで、台数が10件くらいになるように検索してみましょう。絞り過ぎて2台とかしか無い場合は、走行距離を2~3万kmから2~4万kmに広げたり、年式を平成30年から平成29~31年に広げたりしましょう。グレードについては国産各メーカーの調べ方をページの最下部でご案内いたします。
車種にもよりますが、ネットで販売されている価格から15万円~50万円くらい下の金額になると思ってください。価格帯別の想定範囲についても後日アップします。
ご自身のお車の相場観を事前に身につけることで、建設的な値上げ交渉に発展させることができます。査定をする側も人間なので、なにも根拠がない「とりあえず100万くらいつかないの??」というようなスタンスのお客様の場合だと、「もし100万に上げたら今度105万って言われそうだな・・・」などどいらぬ不安に駆られます。これは双方にとって良くありません。建設的な交渉をするためには、査定士も丁寧な根拠の説明が必要ですし、お客様側も一定の相場観というものを理解しておく必要があるのです。
査定当日
査定当日、初対面のアナタに対して、査定士はあなたの事を理解しようと思っています。
- 買取希望の動機
- いつくらいに手放すのか
- いくらくらいだったら売ってくれるのか
- いくらくらいだったら即決をしてくれるのか
- 他の買取店も回って相みつをとっているのか、それともこれから行くのか
- 決裁権者は誰なのか
他にも色々とお客様の事を考えながらお話を聞いたり、車を見たりします。中にはお金だけではなく、”長年連れ添った愛車をどう評価してくれるか”そんな価値観をもったお客様も多くいらっしゃいます。
実際にお車を引き揚げる時に涙を流されるお客様もいらっしゃるので、そのようなお客様にはそれ相応のニーズに答えられる商談を心がけます。
世の中にはお客様の足元を見ながら買い叩こうとばかりする買取店が多いですが、私の感覚では多くの買取店は誠実な対応で、適正価格で提示をしていると思います。
なので、お客様側としても変に構えず、率直に希望金額を伝えてくれると、それに応じられるかどうかの商談がスムーズに運ぶと思います。
金額提示
金額が提示され、もしそれがご自身の希望を上回っていたらその場で決めても良いでしょう。時間を割いてでも競合店と相みつをとりたい場合は金額の有効期限を確認して一旦持ち帰りましょう。
ご自身の希望金額を下回っていた際、根拠を聞かれる方がいらっしゃいますが、買取金額を上げる事には繋がる事は少なく、残念ながら明確に答えてくれる買取店は少ないので無駄と言えます。
しかし、条件を付ける事は有効です。買取店として重要視しているのは、
- いつ引き取りができるか
- 必要な書類がいつ揃うか(印鑑証明書など)
上記2点です。車両の相場というのは上がる事が少ないので、基本的には買取店はすぐにでも車を置いて行ってほしいものです。また、それを明確にしておいたうえで、「○○円だったら○○日に置いていきます。」という交渉をしましょう。希望通りの価格ではなくとも、多少増額の可能性はあります。
契約時に確認しておく事
1、減額承諾書の有無
これは買取店から説明され、署名を求められるまでこちらから話す事ではありませんが、減額承諾書というものが存在します。どういうものかと言うと、”買い取った時には気づきませんでしたが、あなたの車があとで故障したり、修復歴(事故車)だった場合には契約した金額から減額しますよ”という無茶苦茶な書類です。
この書類に署名してしまうと最後、どうなってもこちらではコントールの効かない、言い訳のできない状況で大幅な減額をされることがあります。
2、還付金の請求者
自動車税、自賠責保険はケースによっては還付が発生します。買い取ってもらい、還付が発生する場合は、どちらに請求権があるのかを確認しておきましょう。
3、名義変更の有無や個人情報の取り扱いについて
大手企業でも平気で名義変更をせずにオートオークションに出品するケースが多々あります。その場合、アナタの個人情報は落札先の車屋さんの手に渡り、どう取り扱われるかは保証できません。きちんとしている買取店であれば、自社の名義に変更し、尚且つ整備点検記録簿や保証書などの書類については個人情報部分をカットしたり、黒塗りし出品します。
また、これはやっていない買取店が多いと思いますが、ナビに記憶させた自宅住所や目的地履歴などについても”工場出荷時”というリセットをかけてもらうように依頼、またはご自身で行ってください。
4、リサイクル料金の支払いの有無
リサイクル料金とはあまり馴染のない言葉だと思いますが、要は家電製品を処分する際に支払わなくてはいけないアレの事です。家電製品は処分をする際に処分業者に支払う訳ですが、車は購入をする際に支払います。新車、中古車問わず、購入する際には見積もり金額に入っているのが一般的です。
そもそもリサイクル料金というのは、最終処分者に支払い義務のある費用であり、廃車ならともかく、買取後市場に流通するのであれば、支払う必要がなかったもの。即ち返金してもらえるお金となります。
こちらに関しての知識は一般のユーザーさんに知識がないことを良い事に、ろくに説明もなく支払わない買取業者は多くいます。金額にしておよそ1万円前後ですが、ダメ元でも要求してみる価値はあると思います。
ただ、買取価格に含まれています。と返される事もあり、法的な効力はありませんので、その場合はそれらも踏まえた売却先の検討が必要でしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ここまでの内容をまとめます。
1、事前の愛車のアピールに効果はそこまでない。それよりも、事前に愛車の相場をグーネットやカーセンサーで確認し、根拠としたうえで希望を伝える
2、用意した方が良い物は、取扱説明書、保証書、整備点検記録簿、新車時のオプションがわかる注文書や説明書
3、希望の金額などは、変に”かまをかけたり”せずに、率直に伝えてみる
4、交渉に大事なのは引き渡し時期と必要書類がいつなのか
5、減額承諾書の契約が必要な場合はトラブルの原因になるので避ける
以上となります。上記を実践していただければ、無駄な労力や悪質な業者に足元を見られる事もなく、満足した買取金額を目指せると思います。
少しでも参考にしていただけると幸いです。
また、ご質問などについては随時回答としてアップロードしていきますので、どんなご質問でも構いませんのでお寄せください。
おまけ
国産車のグレード検索サイトをまとめます
お手元に車台番号がわかる車検証などをご用意いただき、愛車相場を確認する際のご参考にしてください
トヨタ :グレード情報検索サービス
日産 :グレード情報の検索
ホンダ :四輪グレード検索サービス
スバル :グレード情報検索サービス
マツダ :グレード情報検索サービス
三菱 :グレード情報検索
ダイハツ:グレード照会
スズキ :スズキ グレード検索サービス
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